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話を聞く
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せかさずそばにいて待つ
- 「話をきくよ」「話して」よりも、「そばにいて、空腹やのどの渇き、慣れない場所に行かなければならない状況に気を配ってくれる人」になりましょう。具体的でわかりやすい日常に気を配ってくれる人がいれば、「一人きりじゃない」「守ってくれる人がいる」と感じやすく、その積み重ねは信頼感につながります。
回復を信じ、気を配って待つ人がいることは、とても大きな助けになります。話をきくのは、そのあとです。信頼感が培われたら、必要な時に、必要なことを、ご本人から話し始めるでしょう。
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茶化さない、比べない、否定しない
- ご本人の話は、これまで他で聞いたことのないようなショッキングな出来事、強い感情、体調の悪さが表現され、その衝撃的な内容から、までの経験では「どのように返せばいいか」がおしはかれず、どうしたらいいかわからなくなることがあります。
そんなときにやってしまいがちなのが、「茶化すこと」、「比べること」、「否定すること」。
「えー、モテ自慢?ちがうか、ちがうね」
「誰でもみんなつらいんだよ」「私だってね・・・」
「かえって〇〇かもよ?」「気にしないほうがいいよ」「忘れなよ」
励ましたかったり聞くのがつらかったり、人によってその時の気持ちはいろいろですが、こんな言葉を言いたくなったら、「話してもらったこと」に押しつぶされそうになっているサインです。
自分が押しつぶされることなく、そしてご本人を傷つけないために、忘れないでほしいのはたった一つ。コメントをしたくなった時、「その言葉は何を伝えてる?」と自分に問いかけること。
「誰でもみんなつらいんだよ、忘れなよ」という言葉は、何を伝えていますか?
『そのままじゃダメだよ、変わらなきゃ、乗り越えなきゃ』というメッセージに聞こえますね。
「つらかったね、大変だったね、(故人に)会いたいね」だったらどうですか?
『そう思って当然だよね、無理ないよ』というメッセージを感じます。
被害後の時期は、『変わりなさい』という言葉よりも、『当然だよ』という言葉のほうが適切です。「変わりなさい」という言葉が必要な時期は、人により大きく違い、判断は簡単ではありません。それはもっと冷静な日にとっておいて、今日はまず「無理ないよ」と伝えていきましょう。
いいこと、気の利いたことは言えなくても大丈夫。
どうしたらいいかのアドバイスは専門職に任せてしまいましょう
。 言葉がなくても、茶化されたり比べられたり否定されたりせず話ができて、
ほんのちょっと肩の力が緩んだなら、それはかけがえのない時間になっていくのです。
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話を聞いて涙があふれてきたら
- こらえなくて大丈夫、涙は流してしまいましょう。
もしあなたが泣いたことでご本人がびっくりしたり申し訳なさそうにしたら、「大丈夫」と伝えましょう。どんなに動揺したとしても、絶対ご本人より大丈夫ですからね。
泣いていると、自分の世界に入り込んでしまいがちです。それだけはNG。
注意して、意識して、ご本人の話に意識を向けなおしましょう。
涙や鼻水もちゃんと拭いてくださいね。ご本人が気になってしまいます。
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相談されたことに沿う窓口を探す
- 被害に遭ったことで、つらい気持ちになるだけではなく、現実的に様々な対処、決断をしなければならない場面がたくさん出てきます。しかも、「今までやったことがない、考えたことがない」ような内容が目白押しです。
でも、忘れないでください。どんなに「今までやったことがない、考えたこともない」ような内容でも、司法の手続きである限り、「それを日常業務としている人」がいます。何もかもを自分だけの力でやらなくても、そういった人に相談できる窓口がきっとあります。
被害後はとにかく疲れてしまって、ご本人は窓口を探す余裕がないかもしれません。よさそうな窓口を見つけたら、その時一番役に立ちそうな窓口をひとつだけご案内してください。
その時ご本人に、その窓口に相談する気持ちがあるとは限りません。もし乗り気でないようであればとりあえず良しとして、またいつか、必要そうなタイミングがあればご案内差し上げてください。